本当は全てどうでもいいことなのに、遠慮がなければ思慮もない現実に足を絡め取られる。 ずっと、お金とか、キャリアのことで悩んでいる。 内的世界が充実するのと反比例して社会は生きづらくなる。
このままではいけないと思っている。 自分の行く先は真っ暗なのではないかと感じることも増えてきた。 狭い部屋では思考は行く先もなく、すっかり重くなった身体の底に沈殿する。 うまくもないiQOSを吸いながらキッチンに座り込んで壁を眺める。
ふと、去年万博に行った時のことを思い出す。 まだ知らない国の旗、反対側の大陸の初めての味、汗が吹き出すスポットライト、ぎこちないが心の通った会話。 あの日々、そこには希望しかなかった。 大屋根リングの中には、確かに「世界」があって、そのかけらに触れることができた。
もっともっと知らないものを知りたい。 もっと自分の手でものを作りたい。 美しいもの、醜いもの、下手なもの、取るに足らないもの。 自分にとって、生きることは作ることである、と胸が痛むほどに直感する。
ただ自分に言い聞かせているだけかもしれないが、羽は折れていても片足でだって歩ける。 今は芸術をやることを諦められない。